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94年ストの悲劇と現在の大リーグがあるわけ

nakamura, 2004.09.10 23:01 [ Column : ]

 さて、前回はどうして1リーグはダメということにふれました。今回は94年に大リーグで起こったことを述べることで、どうして現在の選手会が行おうとしているストライキがよくないかを説明したいと思う。

 94年、大リーグでは選手会がサラリーキャップ制(年俸総額制限)導入をめぐって対立し、94年8月12日から95年3月31日まで232日間に及び、公式戦約1400試合が中止となり、史上初めてワールドシリーズも開催されなかった。この結果にファンはアメリカ4大スポーツの他の3つに乗り換えた。95年当初は観客が過去最低級に入らなかった。大リーグ人気に不安が走った・・・

 しかし、この不安を払拭するスターが出現する。それも日本人で見たこともない投げ方をする選手。そう「野茂英雄」だ。彼の「トルネード投法」に西海岸は酔いしれた。大リーグのオールスターの投手部門は監督推薦なのだが、当時アトランタ・ブレーブスのエース(現シカゴカブス)、グレイグ・マダックス投手も「僕は何回も投げているからNOMOに投げさせてやってくれ」と発言したほどだ。結局、この年野茂は「新人王」、「奪三振王」防御率2位のタイトルを獲得した。しかしながらこの一人の日本人ではかつてほどの人気は取り戻せなかった。

 その次で98年に起こったのが「ア・リーグHR競争」だ。セントルイス・カージナルスのマークマグワイア、シカゴ・カブスのサミー・ソーサのデッドヒート。ソーサが打てば、マグワイアが打ち、マグワイアが打てばソーサが打つというぐらい激しいものだった。アメリカ人は元来HRに魅力を感じるのでこの一大事件には全米が注目した。結局マグワイアはロジャーマリスのもつシーズンHR記録の61本を塗り替え、70本打ち見事にタイトルを獲得した。これで本来の人気を取り戻せたのだ。

 さらに現在、一人の侍に全米が注目している。クールで大きなHRは打てないが、素早い足と強肩と正確なバットコントロールをもつ、そう「イチロー」だ。ルーキーイヤーで史上2人目の「新人王」「MVP」のダブル受賞を果たし、首位打者、盗塁王、ゴールデングラブ賞も獲得した。日本から来た初めての野手ということでかなり注目もされている中での記録達成は精神力の強さを物語っている。また、それまでの大リーグになかった「スピード感」と「繊細さ」がアメリカ人には非常に新鮮なものだった。
現在注目されているのはシーズン案打数記録だ。現地9月9日現在で229本のヒットを放っており、あと28本でシーズン記録に並ぶのである。残り試合が23なので1試合1本以上打てれば達成できるペースではある。個人的にはかなり期待している。

 以上のように、一度失った人気を回復するには相当なスター選手や記録がでなければならないのだ。日本で実績を積んだ選手が大リーグに入団するようになった現在の日本プロ野球界でそのようなことが期待できるであろうか?

 ストライキをしても日本のファンは離れないという評論家もいるが、自分はそうは思わない。しかも今回行おうとしたのは土日。ファンが一番いけるのは土日なのでは?このストライキこそ、ファンを無視しているとしか思えない。日本シリーズもなくなるかもしれないし、優勝争いにも水を差すことになるし。経営面をいったって相当な被害額だ。選手会に何もメリットはないと思う。だからするべきではないと思うのだ。

 本日9月10日、選手会が様々な条件付きでストをしないと宣言した。本当によかったと心の底から思う。早くこの球界のゴタゴタに蹴りをつけてもらいたいものだ。

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