カモなく、不可もなく
taromatsumura, 2008.12.28 17:01 [ Today : nihonbashi ]
2008年12月のとある夜、日本橋の家にふらりと帰ってくると、家の前にカモが居た。あの鳥のカモである。何でこんな所にいるのか、と訪ねたところで答えてくれるわけもなく、よちよちと歩いている姿はなかなかかわいらしい。それにしても、こんな所を歩いて散歩とは物好きだと思いつつ、車の通りも多いのでちょっと心配になってくる。
この界隈でカモといえば皇居のお堀である。数年前まで、カモが内堀通りなんかを家族で渡る風景は、このあたりの風物詩にもなっていた。ところが最近あまりカモの話題は聞かず、実際お堀の周りでもあまりカモを見かけていない。いや、あまりあのあたりを散歩してないだけではあるけれども。
とはいえ、そのお堀から2kmもあるこのあたりでカモを見かけるのは初めてだし、どうも妙な感じだ。ちょっと追い立ててみても、羽をばたつかせるだけで飛ぼうとしない。いや、飛べないようだ。どこかに飼われていたカモなのかもしれないが、あのドナルドダックみたいな水かきの足音を出し続けているだけなのである。
仕方なく捕まえることにした。次の日の朝クルマにひかれている様子は見たくなかったのである。ちょっと調べてみると、東京都では野鳥を捕まえて飼うことは禁止されていて、警察に連絡してくれ、とのことなので電話してみた。
「事件ですか、事故ですか?」
「あの、カモが道を歩いていて危ないので保護したのですが」
「ん? カモ?」
当然の反応である。その後イマイチ要領を得ないような会話がしばらく続いて、地元の警察に連絡してもらい、とりあえず警官1名を向けますので、とのことでしばらく待つことにした。そして若めの警官が自転車を押してやってきた。
野鳥を拾っても拾得物になるそうだ。これもまた驚きだったが、結局警官が引き継いでくれることになり、段ボールを組み立てて小さな箱を作り、乗ってきた自転車の後ろの箱の上にくくりつけて、大事に大事に運ばれていった。
その後ろ姿は何ともかわいらしく、ちょっと哀愁漂う様子なのだ。忙しいだろうに、カモを拾った市民に呼びつけられて、自転車でカモを持って帰るとは、この仕事に就くときには思っても見なかったんじゃないだろうか。
深夜0時半頃、再び警察から電話がかかってきて、引き取り手がないから明日不忍池に放しに行くという。飛べなくて仲間はずれにならないか、えさは取れるだろうか、と心配はあったけれど、キット警察署の中で暮らすよりは良いだろうと思って、お願いします、と頼んでおいた。
その後彼がどうしているのかわからないけれど、ちょっと不忍池に探しに行ってみようと思う。きっと覚えていないで、また逃げ回るんだろうけれども。_
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