「#LUUP に乗りたいけど乗れない」ペインを、どうすれば解消できるか?

Taro Matsumura 松村太郎
@tarosite

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ちょうど1年前、iU(情報系英イノベーション専門職大学)の駐輪場にポートが登場した新しいシェア電動スクーター・電動自転車の「LUUP」。

墨田区の「交通空白域はない」という公式見解通り、iU周辺にも都営バスと区営バスが走り、交通機関が全くなかったわけではありませんでした。しかし本数が少なくて利便性が低く、また移動の自由度も制限されることから、LUUP導入によって、オンデマンドな移動環境と地域回遊性の確保が行われました。

まさに学生・教職員にとっての「MX」(モビリティ・トランスフォーメーション)のきっかけとなりました。

法改正で電動スクーターの速度アップなどのアップデートが行われましたが、これに合わせるように、iUの既設ポート数が10枠、さらに第2ポート20枠が増え、キャンパス全体で45台を収容する、LUUPの都内エリアの北東限を構成する一台拠点へと成長しています。

しかしその台数が増えた「LUUPに乗れない」というペインが発生しており、自分や学生にとっての問題が顕在化しています。

なぜ、LUUPでiUに行けないのか?

これにはLUUPの仕組みと関係があります。LUUPのポートには、スペースに応じた台数枠が決まっており、これを上回る数がポートに集まることを避けています。出発するときに、空き枠がある終着ポートを選択する必要があります。

つまり、目の前の出発ポートに車両があっても、終着ポートに空き枠がなければ、出発ができない、LUUPを利用できない、ということになります。

で、iUを終着ポートに設定しようとすると、朝の段階から45枠が全て埋まっており、終着点に設定することができない状態になっているのです。画面右上にiUのキャンパスがあり、LUUPポートが2箇所ありますが、グレーになっており返却ができない(終着ポートに設定できない)状況に陥っていることがわかります。

なぜ、LUUPに乗らないのか?

ここで疑問なのは、なぜ学生たちは、iUでLUUPに乗って帰路につかないのか?という問題です。学生たちが帰宅する際にLUUPに乗っていけば、iUの空き枠が増えて、翌朝終着ポートに設定できるようになるはずです。乗って帰れよ、と。

しかしこの疑問にも、終着ポートのルールが答えてくれます。

先ほどのLUUPのマップを見ると、iU周辺に、グレーになっているポートが実に多いことに気付かされます。特に問題となるのが、押上駅周辺のポートが軒並みいっぱいになってしまっている点。

LUUPで移動する場合、目的地は鉄道駅になり、最も利便性が高いのは、半蔵門線、浅草線、東武線、京成線が乗り入れている押上駅です。自分もそうですが、LUUPを使いたい理由は、押上駅とiUの間の徒歩20分という移動時間を、6分程度に短縮したいからです。

ところが、押上駅周辺のポートは分散している上、どれも規模が小さく、かつiPhoneの画面のキャプチャの通り、いつも空き枠がない状態が続いています。もちろん、押上駅からiUへ向けてLUUPを使えば、駅周辺のポートに空き枠が生まれますが、iU側もいっぱいなのでそれもできません。

押上・iU周辺にLUUPの機材がダブついていて、車両の身動きが取れなくなってしまっている状態に陥っています。

ではどうすれば良いのか?

LUUPはオンデマンドで電動モビリティによる移動手段を確保できる点が非常に便利なサービスです。しかし日常的な移動インフラにしようとする際に、iU周辺で起きているような問題が発生しており、機能不全に陥ってしまいました。

すぐできる対策としては、「iU・押上駅エリアで身動きが取れなくなっているLUUPを、別の地域に移動」して、地域内のLUUP台数を減らすことで、車両が動けるようにすることです。

これはLUUPの運営が取り組むだけでなく、学生が、とうきょうスカイツリー、亀戸、亀戸水神、曳舟、錦糸町、本所吾妻橋、両国など、少し距離のある周辺駅のポートに乗っていくことでも解決可能です。iUを終着ポートにできなくて不便しているのは、我々なわけですから…。

ちなみに筆者は、ちょっと夜風に吹かれたいということで、授業が終わってから千代田線の湯島駅までLUUPで移動することもあります。夏になってしまうと暑すぎてやめた方が良さそうですが。

並行して、主要導線を軸にした「2点間移動の最適化」に取り組むべきだと考えています。最も需要が高いように思われる最重要導線「iU-押上駅」について、押上駅周辺のポートを、iUと同等の台数(50台規模)に拡大したり、押上駅周辺のポート拡充によって、「ちょっと歩くけど全部歩くよりはLUUP乗っちゃった方がマシ」という環境を作っていくことが必要だと考えます。

同時に、iUの最寄駅となっている東武亀戸線小村井駅、その隣の東あずま駅にポートを拡充していくと良いのではないでしょうか。

LUUPさんの実際のライド情報を突き合わせて、この辺りの仮説がうまくいきそうなのか?また施策を打った結果どうなるのか?という部分の検証をしていきたいところです。

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Taro Matsumura 松村太郎
@tarosite

Journalist/author covering tech, edu, and lifestyle. ジャーナリスト・著者。iU 情報経営イノベーション専門職大学専任教員。キャスタリア取締役研究責任者。Tokyo JP✈Berkeley CA http://forks.tokyo/