Photo by Taro Matsumura 松村太郎 , Nov 2010

東京からトーキョーへ、日常から非日常へ変わった5年間

僕が住処としての東京を離れ、太平洋を挟んだ対岸に位置するカリフォルニア州バークレーに引っ越してきたのは、2011年11月。もうすぐ5年が過ぎようとしている。引っ越し自体は人生で4度目だったが、東京から別の街に引っ越すのは初めての経験だった。

家具や書籍、CD、電化製品に至るまで、荷物の大半を捨ててきた。持っていくはずだった3つの衣装ケースは、梱包の後の家人による仕分けによって、船便が届いた時に1つになっていたことを知った。

当時、言葉としての仕分けや断捨離が流行っていましたが、まさか自分のものがその対象になるとは。複雑な気分になる。いや、対象にならないよう気をつけましょうね、ほんとうに。

東京での最後の2年間は、少し眺めのいいアパート住んでいた。多分今同じ窓から景色を見ると、全く違う風景が拡がっていることは想像に容易い。5年前と同じように「眺めのいい」という感想を持てるかどうか、あまり自信がない。

それほどに、5年間という東京の時間は、バークレーで過ごす5年より早く過ぎ去り、人も街も新陳代謝を起こしている。ちょっと東京から離れて、出張で訪れる程度になった僕にとっては、そう感じるのだ。中にいたときは全く気づいていなかったけれど。

この感覚を覚えるようになるまでには、東京を離れて半年もかからなかった。とにかく3ヶ月に1度は、生活圏の建物が変わり、お店が変わり、人の流れも変わる。

変化が速いはずのデジタルの世界、例えば電車の中で人々がスマホで何をやっているか、という風景の方が変化に疎かったことに驚いた。Twitter、LINE、パズドラ、2チャンまとめサイト、メルカリ、スマートニュース…最近ではPokemon GOが人気でしょうけれども。

サンフランシスコ界隈では、日本、東京が非常に良い注目度を集めている。もはや、ゲームとアニメとテクノロジーだけの国ではないのだ。

僕の普段の仕事はテクノロジーに関するものだし、下手の横好きでゲームに興味があるし、2011年の渡米直後、こちらの人にアニメについて質問攻めに遭い、「何にも知らない自分」を思い知らされ、勉強し始めた経緯があった。

しかし5年たって彼らが興味を持っているのは、もっと日本や日本人の自然な、日々の生活のことだ。

巨大な都市で、個人がどのように振る舞うのか。豊かな食と文化を、どのように生活に取り入れているのか。いつしか僕も、そうした視点で日本を見るようになっていた。

僕にとって日常として過ごしていた東京は、非日常空間としてのトーキョー(Tokyo)になりました。この2つの視点で、普段は外から、時々中から、トーキョーを見つめていきたいと思います。

今日のトーキョーについて

「今日のトーキョー」は、2001年に作ったウェブサイトでした。個人的なものであるため、1つのウェブサイトとして存在させたり、メインのブログに吸収したり、という経緯はありました。

Medium版として、気楽に進めていくツールに巡り会いましたので、こちらでの更新を試してみたいと思います。

開設以来、スローなグルーヴをモットーにしておりますので、ひとつ、よろしくお願いいたします。

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Journalist/author covering tech, edu, and lifestyle. ジャーナリスト・著者。iU 情報経営イノベーション専門職大学専任教員。キャスタリア取締役研究責任者。Tokyo JP✈Berkeley CA http://forks.tokyo/