メタバース ビジネス はどこで成長する?
正直なところ、「○○元年」というフレーズは色々な人が色々なタイミングで発するので、明確に「ココ」というのはかなり後から、むしろそのトレンドが終演しつつあるあたりで整理することができるものだと思いますが、「メタバース元年」は2022年あたりになりそうだ、といわれています。
もちろんメタバースという名前が使われていなくても、バーチャルリアリティの世界での諸活動は行われてきました。セカンドライフが成功も失敗も含めてパイオニアになったこと、どうやらどうぶつの森も、コロナ時代に寄り添う立派なメタバースだったのではないか、という議論もありました。
さて、そんなメタバース、果たしてどこでどのように儲かるのか?という話です。ここでおなじみ、Statistaのグラフをご紹介。
このグラフで最も大きな部分を占めているのはEコマース分野。驚くべきコトに、このEコマースには、デジタルアイテムは含まれていません(グレーのその他に含まれています)。
さらに面白いことに、「Web 2.0」的な世界で大きな領域を占めている広告も、ヘッドセットなどのハードウェアと友に、グレーの「Others」に押し込まれると予測されている点は、FacebookあらためMetaの危機感を共有するものだと感じました。
ちなみに、危機感があることは、イノベーションのきっかけになるので、決して悪いこととは言えません。危機には変わりない、と思いますが。
Gamingは大きな違和感がありませんが、その次に来るのがHealth & Fitnessの分野。スポーツクラブなどでは既に、ヘッドセットをかけたバイクのセッションなどもあるし、体験の置き換えで最も変化率を作り出す可能性があるともイメージできます。ただ、GamingとHealth & Fitnessは、融合しそうな雰囲気がありますよね。
個人的に期待しているのはWorkplaceとEducation
いずれも自分ごとであると言う点には変わりないのですが、iU 情報経営イノベーション専門職大学で、ワークショップ、グループワーク型の授業を3年間やっていて、教室の床面に立つのではなく、教室を真上から俯瞰したいという欲求が強まりすぎていて、メタバースなら実現できるのではないか、と思っているのですが、どうでしょうか。
ふざけた話ではなく、視点を変えると言うことは、アイディアを考える上ではとても大切で、それは学生だけでなく教員にとっても必要だと思っているのです。
Eコマース、そんなに売れるの?
今までEコマースで扱われてきた商品の販売が、よりオンラインで、かつメタバースで売れていくようになるシーンが想起されているのでしょうか。
例えば、ユニクロのTシャツ。サイズ感が分かっててリピート買いをしている服の場合、店頭で買わなくても、オンラインでの購入ができそうなものです。ただ、色やプリント柄が自分に似合うかどうか、メタバースで試せるのであれば、部分的にバーチャルな領域が介在する可能性はあります。
しかしそのメタバースは、自分が一人称視点ではなく、第三者視点で自分を見る、というスタイルになるため、正直なところメタバースである必要があるのかどうか。それこそ、今流行っているARアバターみたいな世界でも事足りるかも知れません。
では、Eコマースでこれから新たに売り始めるものは何か?と考えるとわくわくしてきます。
例えば不動産。多くの人は、図面と一部分の写真をみて、「住んだらどんな感じかな?」というイメージを作ることはできません。しかし、完全な空間が再現されていて、歩く感覚、音の反響、窓を開けたときの景色、流れてくる風、日差しなどがきちんと再現されていたらどうでしょう。
未入居時のがらんどうの室内での内見が再現され、自分の手持ちの家具や新たに買いたい家具を配置して生活空間を組み上げて体験できるとしたら。もっと言うと、内見ができない建築予定のマンションを内見できるとしたら……。オンラインでの不動産取引はより活発化されるのではないでしょうか。
クルマなんかも、メタバースが有効かも知れません。ゲームなんかでも既にクルマの精密なシミュレーションが実現されていますが、サーキットではなく、生活空間で実際にクルマに乗ってみたらどうだろう。あるいは自動運転のシミュレーション状況なども、今後のクルマの重要な選択基準になっていくとすれば、これが再現されることでクルマの購入が決定できるかも知れません。
どれも、既に技術的に、コンテンツ的に、部分的な実現はなされています。そうした技術が1つの空間と体験にまとめ上げられると、新しいコマースの世界につながっていきそうですね。
メタバース関連の書籍は、以下の2冊がオススメです。